何かを思ったらしい俺の脳は、口からただ「あぁ」と漏らすことだけを指令した。 突然のことで自分でも吃驚したが、幸い誰の耳にも届いていなかったようでなんとなく安堵の溜息が溢れた。 俺の脳は混乱したのだろうか。頭の中がショートでもして、おかしなことを誤って指令してしまったのだろうか。

(……いや、)

 違う。
 そう思うことに確固たる自信さえなかったものの、それでも漠然と解っていた。 それも、もうずっと前から。 ただそれを認めることを心の奥底で拒み続けてきただけなのだ。 解りたくないなら解らなければいい。 知らないでいればよかったと後悔するくらいなら知らない振りをしていればいい。 俺がそれを認めさえしなければ、誰とも隔離された「花巻美玖」のままでいるのだ。

(……なんて、こんな嘘、誰が信じるって言うんだ)

俺が彼女を見るような眼で、彼女はあいつを見ていた。 何物にも言い換えられない熱情を抱き締めたこの瞳が追う先は彼女、それだけでよかったのに。 彼女が俺と同じ瞳を伴い振り返って欲しいと願わないわけでもなかったが、伸びる矢印はただ一本でよかった。

(隔離された花巻なんて――結局、俺の中だけじゃねぇか)

 気付いていた。解っていた。知っていた。  堰き止めていた枷が外れたように止め処なく溢れ出す言葉と涙はもう一生立てないんじゃないかと思うくらいにどこまでも俺を苛んでいく。 遂に突き付けられた現実から、もう逃れることはできない。




2限目は保健室
(先生、俺、病気ですか)


(100603)
一応安田→花巻→藤のはずだったんだけど安田以外出てない…!笑
こんな重たくするつもりはなかったんだけど 安田ごめんね!
もうちょっと長くするつもりだったんですがとりあえず練習程度なのでこんなもんで。
  何を言っているのか分からないのは、私もです。


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